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 ノイズ対策としての電波吸収体


電磁波波環境の現状は、情報技術が発達してわれわれの身の回りには多くの情報関連機器システムが機能していますが、これらの機器のほとんどはデジタル信号で動作しているため、電磁波ノイズによって器機装置間でさまざまな干渉問題が発生し誤動作する事があります。

一般に、電磁波は物質に照射されるとその表面で反射したり内部に進入して後方に抜けてしまうものとがありますので電磁波をどのように捕らえるかが吸収体の材料を選ぶ基準となります。

この問題に対処するためには、個々の装置が他の装置の動作に影響を与えるような不要な電磁波の放射を押え、外部からの進入電磁波に対しては故障しないような耐力を持つことが必要です。

これを電磁両立性 (EMC:Electro Magnetic Compatibility)と云い、これらの電磁波障害を防止する技術として電磁波吸収体や電磁シールド材を使用します。

ここで電磁波の入反射経路とエネルギーの移動を考えてみますと、入射・反射・透過・吸収を経過しても電磁波のエネルギーは失われることが無いので次式が成立します。



電波吸収体はその表面においては電磁波とのインピーダンスマッチングを取った設計をしてあり、内部に電磁波を取り込むことが必要です(周波数によってその値は異なっている)。

また入射電波の偏波〈垂直偏波、水平偏波、あるいは TE波、TM波など〉を考慮する必要があり、近傍界か遠方界によっても吸収性能は異なってきます。

一方、シールド材は電波吸収体とは逆の構造で、ほとんどの入射エネルギーが全面で反射されるような材料を選んで設計し、透過エネルギーを小さくするので内部では殆ど電波は吸収しません。

周波数帯域の低い(例えば30MHz以下)での実用的なシートタイプの電波吸収体の製作は非常に難しいですが、電磁シールド材は低い周波数帯からシールド効果の高いものが比較的作り易いです。

 電波吸収体のメカニズム


電磁波吸収体は入射したエネルギーのほとんどを熱エネルギー(ジュール熱)に変換吸収しますが、一般に利用される場合では人の感覚としての温度上昇は感じません。

その電磁波を吸収するメカニズムについて簡単に説明しますと、(図1)のネットワーク概念に沿った磁性吸収材や誘電吸収材を多用した電波吸収システムと、抵抗性吸収材を使った入射電波と入射電波の1/4波長の共振打ち消し合いによる電波の吸収方法(図2)の二通りのタイプがあります。

<電波吸収材によるもの>
@ 磁性体(μ'、μ")、A 誘電体(ε'、ε")、B 導電体(σ) が電磁波の構成要素である磁界波、電界波にそれぞれ対応してその役割を果たしますが、実際の吸収体内部で生じる吸収の基本はシェルクノフの多重反射理論によります。

これは如何に吸収体内に電磁波を取り込み、取り込んだ電磁はをいかに空間に再放出させないかという仕組みで、結果から云うと、空間に存在する固有インピーダンスを持って存在する電磁波に対し、極力インピーダンスのマッチングを試みて吸収体内に取り込み、吸収体内部で吸収特性を上昇させるような構造にしてあります。



誘電材料と磁性材料の混合された物質は概念図のような高密度に形成されたマイクロコンデンサー・ネットワークが構築され、電磁波の照射に対してマイクロコンデンサー作用により誘電損失効果が生じ熱エネルギー(ジュール熱)に変換されます。

<抵抗性吸収材によるもの>
二つ目のシステムは、抵抗性吸収材を使い入射電波と入射電波の1/4波長の共振打ち消し合いによる電波の吸収方法で、図2のように金属反射板から1/4λ離れた位置に平面波の波動インピーダンスである 376.7Ω の抵抗膜を配置した構造の電波吸収体で、設計は伝送線理論に基づき抵抗皮膜の前面から見たインピーダンス Zin を計算し、その中間のスペーサ?は対応する周波数との最適な材料を選定してあります。

 

  電波吸収体の選定


電波吸収体の選定は対応波長にあわせ、吸収性能(反射損失)の要求により選定します。

単一シート構造および薄膜シートを重ねた多重積層構造タイプは2.4GHz以上の周波数帯に適しますが、共振タイプは1.6GHz〜5GHzくらいの箇所に有効です。

また、EMC対応の40MHz近辺から2GHzの所では電波吸収システムは反射減衰型と投下減衰型があり、使用目的によって選定しますが、特にノイズ対策用として50μ、100μシートにおける抑制効果の測定はマイクロストリップ線路上にサンプルを配して計測します。

オルタスは吸収帯域を広くカバーしており、電波の波長によって使い分けるが低周波40MHz帯から高周波110GHz(mm波対応)までの供給が必要です。

いずれも薄く、軽く、柔軟性に富み、加工しやすい優れた吸収体です。

 

 電波吸収体の用途例

1) EMC対応:広帯域化、高周波化への対応とSAR対策
・ 携帯電話端末、デジタルカメラ
・ ノートパソコン 、デスクトップコンピュータ
・ BSコンバータ、光/電気変換

2) 回路コンポーネンツ(高周波回路への応用)
・ ローカルOSC、Mixer(スプリアス吸収)
・ RFアンプ(発振防止フィルター)
・ PLL/VCO(動作安定)
・ GHz帯の高調波ノイズ吸収

3) 固定設備
・ 電波暗室(フェライトタイルのハイブリッド化による高周波帯対応)
・ 無線LAN(ラスト100M対応)
・ 携帯電話基地局設備(CDMA、PHS)
・ 測定用小型マイクロ波無反射チャンバー
・ 多重通信システム基地局設備

4) レーダー関連
・ ステルス材
・ ゴースト、イメージ防止(船舶マスト)
・ アンテナ/サイドローブ改善

5) 高度道路交通システム関連(ITS:Intelligent Transport Systems)
1.道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)
・基地局アンテナ設備

2. ノンストップ自動料金収受システム(ETC:Electoronic Toll Collection)
・ゲート側送受信システム
・車載機側システム

3. 自動運転道路システム(AHS:Automated Highway System)
・ミリ波レーダー用

 電波吸収体の測定方法



電波吸収体の測定は様々な手法があって、同軸導波管法・マイクロストリップライン法(MSL法)近接反射法および空間法(NRLアーチ法)などで行いますが、オルタスは低周波帯域のノイズ対策シートはマイクロストリップライン法(MSL法)で、ギガヘルツ帯域の電波吸収帯は空間法(NRLアーチ法)を用いています。

 

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